原因不明の痛み!感覚異常性大腿神経痛

1.初めに
感覚異常性大腿神経痛は、生活の中で起こりうる疾患です。しかし、原因が分からなければ、症状が悪化し日常生活を脅かす可能性があります。
この記事では、感覚異常性大腿神経痛とは何か、何故引き起こるのかをご説明します。

 

2. 感覚異常性大腿神経痛
感覚異常性大腿神経痛は、外側大腿皮神経が障害を受けて引き起こる神経痛の一種です。外側大腿皮神経は、第2・3腰椎から前方へ分岐し、腰のあたりで湾曲し鼠蹊部辺りから皮下に出ます。大腿の前面と外側を支配している末梢神経です。

2-1.原因
主に、外側大腿皮神経が圧迫されることで引き起こります。急激な体重増加や、サイズが合わず収縮しにくい素材の被服(ジーンズ、ベルト)を着用することが多くの原因です。また、妊娠中に胎児が神経を圧迫して起こったり、鼠蹊部の術後に一時的に起こったりすることがあります。

 

2-2.症状
先にお伝えした通り、感覚異常性大腿神経痛は神経痛の一種です。痺れや疼痛を伴います。中には、原因を取り除き安静にしていても症状が改善せず、入眠後に中途覚醒する例も少なくありません。

 

痛みの特徴として、大腿前面から外側と、神経の支配領域のみに症状が現れることが挙げられます。神経の分布範囲は個人差があり、大腿内側まで痛みが生じる場合や、限局せず何となく大腿が痺れる・痛むと言った例も挙げられます。
 
3. 何故神経が圧迫されると痛みが生じるのか
いわゆる外傷などで起こる疼痛は、皮膚や筋肉の損傷で分泌された炎症メディエーター※1を神経が受け取ることで、脳に伝わります。
 
この痛みを伝達する神経を求心性神経と呼びます。(中枢神経が損傷し、末梢へ痛みを伝達する神経は“遠心性神経”と呼びます。)
 
外傷などで痛みを感じる場合は、皮膚・筋肉などの細胞が破壊されて炎症メディエーターが分泌されます。その物質を、求心性神経線維が脳に伝達することで痛みを感じます。
 
しかし、感覚異常性大腿神経痛は、局所的に神経が圧迫されて引き起こるため、前述したような伝達は基本的にされません。
 
この疾患の場合は、神経が直接圧迫されることで求心性神経線維が刺激・興奮し、脳に伝達されるのです。これが、感覚異常性大腿神経痛の疼痛を感じるメカニズムです。
 
先に、感覚異常性大腿神経痛の場合、外傷のような神経伝達はされませんと説明しました。しかし、患部(鼠蹊部周囲)の圧迫の状態によっては、皮膚・血管・筋肉も一時的な循環不良に陥り、炎症メディエーターを放出する可能性があります。
 
※1 ブラジキニン、セロトニン、ヒスタミン、アセチルコリン、サイトカインなど。患部に浸潤した白血球や肥満細胞、マクロファージから分泌されます。

4. おわりに
感覚異常性大腿神経痛と、神経そのものが圧迫されることで疼痛が引き起こるメカニズムをご説明しました。
 
求心性神経でも、異なる伝達方法により疼痛が出現することがお分かりいただけたでしょうか。この記事が皆さんの手助けになれば幸いです。

     

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